あなたにとって『いいもの』とは何でしょうか。
まだ見たことのない、味わったことのない想像の『いいもの』でしょうか。
それとも過去に手にしたことがある『よかったもの』でしょうか。
多くの人が今以上の幸せのために、もっといいものを得たいと思います。
ただ、その『いいもの』がこれから手に入るのかと疑ってしまうと、今まで手にしたことのある『いいもの』から気持ちが離れられないことがあります。
手にしたことのある『いいもの(よかったもの)』を手放せないから、次のいいものが入ってこない、受け取れないこともあるのです。
『過去に手にしたことがあるいいもの』に対しての執着をしてはいませんか?
『執着』と聞いて真っ先に思い浮かぶのは何でしょう。
執着を手放す、そんなフレーズを聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
手放した方がいいということは、その手放せないでいるものは『よくないもの』そんなイメージはないでしょうか。
以前の私は執着することはよくないことだと思っていました。
人に言えないような、みにくい欲望の感情のように感じていたのです。
手に入れられない地位や立場に対して、あの時こうしていたら今は違ったかもしれないと考え続けてしまうとか。
別れた恋人を忘れられず、いつまでも連絡先を消せないとか。
もしかしたら手に入れるチャンスがあるかも、そう思っていることを人に知られたらとっても恥ずかしい。
なので「私には執着なんてありません!後ろ暗い欲求なんて何にもないです!!」と見せかけていました。
ですが、執着とは誰にでも起こり得ることで恥ずかしいことではなく、一般的にいいものとされていることにも執着が起こるんです。
悪いものなら、手放した方がいいと理屈ではわかりますよね。
でも『いいものを手放す』ってどういうこと??
自分の努力が実り成功した体験、栄光。
何にも変えがたい愛して愛された恋愛。
この世のものとは思えないほどの絶景、旅行の感動。
どれも大切な記憶です。
けれどその大切な体験や、思い出に心を奪われたままなのも、『執着』のひとつのようなんです。
いい思い出でにいい気分のまま執着し続けても、誰に迷惑をかけるわけではないので、安心・安全ではあります。
けれど安心・安全だからこそ、その素晴らしかった瞬間に心がとどまり続けてしまうのかもしれません。
素晴らしい瞬間にとどまり続けて何が悪いのか、それで幸せならばいいのでは?
そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
けれどその幸せは『今』のものでも、進行中のものでもありません。
逆に言えば、『今』があまり幸せではないからこそ、過去の幸せが必要とも言えるのではないでしょうか。
いい思い出にしろ辛かった思い出にしろ、過去に執着する分だけ、過去を生きているようなものです。
現在の行動が、過去に大きく影響されている可能性もあります。
過去の『よかったもの』にこだわり続け、自分の視界をせばめるものになっているのなら、もっといいものを見逃しているかもしれません。
過去を生きているのですから、現在の幸せに目を向けにくいですし、幸せになるチャンスがあったとしても、受け入れるスペースは過去の思い出でうまっています。
例えば、ずっと好きだった相手と付き合ったとします。
願いが叶った喜び、一緒にいられる幸せ、今まで生きてきてよかったと最高の気持ちです。
しかしその気持ちにも次第に慣れてきて、ケンカやすれ違い、相手の浮気なんかもあったとします。
ここで大好きな人と一緒にいられた最高の瞬間に感じた気持ちに執着していると、どういうことが起こるでしょう。
別れようか、でもあんなに楽しかった、あれほど仲が良かった二人なのだから、付き合い続けていたらまたあの時みたいになれるかもしれない。
どうしたらあの時みたいな最高の関係に戻れるのかと、悩むかもしれません。
残酷かもしれませんが、同じ相手との同じ状況だったとしても、同じ時には戻れないので、全く同じ『最高の瞬間の気持ち』は2度と手に入りません。
だとしたら手に入らないその気持ちは手放して、相手との関係性を深めて進めることができれば、その時以上に最高な気持ちを手に入れることだってできます。
それは同じ相手かもしれませんし、他の相手かもしれません。
欲しいのは今の相手との最高だった瞬間ではなく、より深い愛情をともなったもっと最高の感覚なのだとしたら、別の相手ということもあり得るのではないでしょうか。
もし今のパートナーといることが喜びなのだとしたら、「あの頃は良かったな・・」ではなく、今目の前のパートナーに向き合わなければいけません。
付き合い始めの最高だったパートナーと比べるということは、目の前の相手ではなく当時の自分が感じた感情に執着しているということです。
どちらにしても、過去の素晴らしかった感情に執着していては、より良いパートナーシップを得られないのです。
執着を手放すということは、選択肢が増えるということ。
過去に感じた素晴らしい感情の他にも、これからさらに手に入れる準備をするということです。
チャレンジとして、新しい選択をしてみてください。
それは大きな決断でなくても構いません。
外食の時に、絶対選ばないようなものを選んでみるといった、小さな選択でもいいんです。
好きなメニューは安定して美味しいですよね。
私もついつい、オムライスばかり選んでしまうんですが、ちょっとでも迷ったときは新しいものを選ぶようにしています。
それで何が変わるの!?と思うかもしれませんが、変化に慣れる・変化を楽しむ練習が必要で、自分が変わりたい・挑戦したいのならば準備運動から始めることをお勧めします。
重要なことを一発勝負、思い切って変化させるより、変化を楽しむ自分になることが、手にしたものに満足しない自分すなわち、
「いいものにも執着しない、ワクワクし続ける自分」
への一歩だと思うんです。
過去にどれほど素晴らしいものを得たとしても、『今』を楽しんでいる輝きにはかなわない。
今持っているものを捨てるというお話ではなく、そっと心にしまっておいて、新たな気持ちや視点でこれからを見直してみるのはいかがでしょうか。
知らずのうちに「あれ以上のものは手に入らない」と、自分の限界を決めてしまってはいませんか?
そこに執着が存在します。
手に入るか入らないかはあなた次第。(最近よく聞くあのフレーズみたいですね!!)
自分次第なこと=自分が変えられる、ということです。
そうは言っても急に気持ちが切り替わるわけでもなく、何をしたら手放せるのか、変われる日は来るのかと恐れや不安が出てくることもあります。
けれどただ生きていくだけならば、なんでもいいから安心や安定を得ることにだけ関心が向くはずなんです。
不安や怖れを感じるということは、すでに挑戦への扉の前に立っている状態とも言えます。
一人きりで進む必要はありません。
誰かと一緒に取り組んでも、得られるものが減ったりはしませんので、お手伝いをさせていただけたら幸いです。