学校に行きたくない~親として思うこと~

「学校に行きたくない」
子供が言うこの言葉、本当にドキッとします。

つい先日も、高校生の息子が学校を休みました。

人間関係で特に問題が起きている様子もなく、部活も自主的に参加しているし、友達と楽しそうに電話で話したり遊びに行ったり。
それなのに急に、行きたくなくなってしまう日が年に1・2回あるんですよね。

「まあ、そんな日もあるよね」
と一日目は何も言わず、学校にお休みの連絡を入れます。

問題は二日目です。

支度しているな、よしよし、と思いきや部屋から出てこない。
もしや・・・今日もお休み!?

そっと見ると、姿を見ただけで「これは今日もダメだ・・」という雰囲気が伝わってきます。

あー、どうしよう。
とりあえず理由を聞かなければ。

車で送っていけばまだ間に合う。
まず会社に遅刻の連絡を入れないと。

一気に焦り始めます。

息子が行きたくないと言ったとき、説得しても学校に行かないのはわかっています。
けれど話を聞いたら、送っていくなら、なんとか行ってくれるのではないかと期待してしまうんです。

そこで緊張したやり取りが始まります。

「学校でなにかあったの?」
「なにもない」
「でも行きたくないのには、理由があるんでしょ?」
「自分でもわからない、ただどうしても行きたくない」
「あんまり休むと大学の推薦してもらえなくなるよ?」
「・・・どうでもいい」
「今日休んだら、明日はもっと行きたくなくなるかもよ?」
「まあ、そうだろうね」

お手上げです。
本人も状況はわかっているんですよね。

仕方ないので、隣の部屋からしばらく息子を観察することにしました。
部屋のドアは開けていてくれたんです。
たぶん、やましいことはないよとか、隠し事があるわけではないという意味なのだろうなと思いました。
逆に言えば、それでも行きたくないんだよ、と示しているようにも見えたんです。

これ以上私にできることはないなと感じたので、黙って息子の様子を見ていることにしました。

するとごそごそと部屋の掃除を始め、ごみを捨てたり何かを洗ったり、私の目の前をうろちょろ。

息子は学校を休んだことに罪悪感を感じていたようです。
私に見られて、じっとしていられなかったんでしょう。

行くのがめんどくさくて休んだわけじゃない、そんな風に見えました。

掃除が終わると、部活道具のお手入れをしはじめたり。

一時間ほど見ていましたが、これ以上罪悪感を感じさせてもかわいそうだし、部活道具のお手入れをしているということは、まあ大丈夫かなと思い出勤しました。

次の日は登校したので、顔には出さずにいつも通り送り出しましたが、原因は分からずじまい。
親にできることを改めて考えた一件でした。


思えば息子が今まで学校に行きたくなくなったとき、学校での問題が原因だったことはほとんどありませんでした。

小、中学生のころは丁寧に聞けば話してくれたんです。

印象に残っているのは2回で、いずれも数日お休みしただけで学校へ行くことができました。
なぜ印象に残っているのかというと、行きたくなくなってしまった理由が思いもよらないものだったからです。

息子が小学校高学年のときのことでした。

朝、ベットの上に座って動こうとしない息子に、
「今日お休みするの?仕事遅れちゃうからはっきりして」
などと言った記憶があります。

「僕がいなければママは自由になれるんでしょ!」

そう急に泣きながら言われ、あまりにびっくりした私は何と言っていいかわからず、固まってしまいました。

この時の私は離婚をしたばかり、受験生の娘や息子のスポーツクラブへの送迎や仕事と、常に時間が足りない状態でした。
そんな私を見て、息子は自分が負担をかけていると思ったのかもしれません。
今思えばその逆で、あなたがいたから頑張れるんだよと、言ってあげたかった出来事です。

中学生のとき、学校に行きたくなくなった理由にも驚きました。

「なんでお姉ちゃんは、ばあちゃんに会ってあげないの?」

息子一人で父方の実家に泊まりに行った後のこと。
娘は理由があって、父親とも父方の親戚とも会っていませんでした。

もしかしたら息子には祖母がさびしそうに見えたのかもしれませんし、何か話をしたのかもしれません。
何とかしてあげたいと思っても何もできないと、心を痛めていたのでしょう。
その時には、子供としてではなく家族の一員として、起きていることや状況や、感じた気持ちを交えてていねいに説明しました。
お互い泣いてしまいましたけどね。

どちらの時も、目の前の大事な人が辛そうにしている姿を見て、でもどうすることもできず心に抱え込んでしまったように思います。

その結果、なんだかやる気がなくなってしまった、落ち込んでしまったように見えました。
子供は大人が思っている以上に周りを見ていますし、自分の無力さを感じていることがあります。
事実とは異なっていても、子供にはそう見えてしまうのかもしれません。
なにしろ子供にとっての世界とは、自分の身の回りのことですから。

身近な人が苦しんでいると、まるで自分のせいのように感じてしまうことがあります。
頭で理解しているというよりは、心がそのように反応してしまうんですね。

たとえはお母さんと子供のやりとりで、こんなことはありませんか?

「ママー、おなか痛い」
「昨日アイス食べ過ぎたせいでしょ!!もうやめときなさいって言ったのに、いうこと聞かないから!!だいたいね・・(省略)」

私なんかよくやってしまうパターンですけど、冷静に考えれば、具合の悪い子供相手に何で怒るの!?という感じですよね。
子供の体調が悪いことが、親にとって不快なことは確かです。

なぜなら元気でニコニコしていてほしいから。

それなのに子供を守ってあげられなかった、親である自分のせいだと、無自覚にものすごく自分を責めてしまいます。
だから反射的に子供に対して「あなたが悪いからこうなった!」と言ってしまうのかもしれません。

親にとっては愛情があるからこそ、不快に感じる、怒ってしまうこともあるのです。

でも子供にとっては、自分が至らないせいで親を怒らせたと感じてしまうことがあるように思います。

このように、大事な人が目の前で苦しんでいるとき、自分のせいだと無意識に罪悪感を感じることはとても多いのではないでしょうか。

高校生になった息子も以前のように、私か、元夫か、または別の身近な人に対して罪悪感を抱えてしまっているのかもしれません。

息子の場合は言えないだけで、もしかしたら学校生活に悩みがあるのかもしれませんが、それを言いたくないのだとしたら、それもまた迷惑をかけたくないという息子なりの想いなんですよね。

大人に近づいた年齢ですから、小さい頃のように何でも話してくれるわけでもないでしょう。

じゃあ、親にできることはなんなのか、何もしてあげられないのか、悩んでしまいますね。

〇まず自分を責めないこと。

親が自分を責めればその姿を見て、自分のせいで親を悩ませているのかもと、子供も自分自身を責めます。
お互いが「自分のせいで・・」と感じていたら、なかなかそこから抜け出しにくいかもしれません。

〇誰のことも責めないで、何をどう思っているのか聞いてみる。

まず、誰も悪くないという前提で、話を聞こうと伝えてみてください。
一度聞いただけでは言わないこともありますので、聞かせてほしいと待つことが大事かなと思います。
大人だって、無理やり白状させられたら嫌ですもんね。

〇関心を持ち続けながら、見守る。

口を出さずに見守るのって、難しいですよね。
でも関心を持たれていないと感じると、もっと心配されるような行動をとってしまうこともあります。
誰だって、自分に関心をよせてほしい部分があるように思います。

けれどまだ自分がどうしたいのかわかっていない成長途中のお子さんの場合、今後どうするつもりなのかお話しするのはいいんですけど、大人の視点から近づいていくと「どうせわかってもらえない」と、頑なになってしますこともあるのではないでしょうか。
特に長い間学校に行けない時は、今とは別のアプローチや視点も必要なように思います。

環境(スマホ依存とか)や睡眠不足などの体調も、気分の浮き沈みに影響するようですので、そこもあわせて見てあげるのもいいかもしれません。

我が家でも、スマホは寝る前に別の部屋に置くことにしました。
子供だけじゃなく、親も一緒であれば取り組みやすいですし、私の健康も保たれます!

〇もう一つ重要なのは、目の前にいる自分が楽しく生きること。

大事な人がつらそうなことで子供が罪悪感を感じるのなら、その逆もあります。
生き生きと楽しそうな親を見ると、子供も人生を楽しんで好きなことをやっていいと思えるのではないでしょうか。

日本の引きこもり1号などとも言われる(一部の間で)天照大神さんが、天岩戸(あまのいわと)から出てこなくなったという神話でも、外で楽しそうにお祭りをしていたら顔を出したらしいです。

神様でさえ楽しそうな様子につられてしまうのですから、効果がありそうに思いませんか?
心配したり説得しようとしたり、もしそれがうまくいかないのなら。
注目すべきは子供ではなく、自分自身なのかもしれません。

これらは私が実際に取り組んでみたり感じたことですので、状況に当てはまらない部分もあるかと思いますが、詳しくお話を伺って一緒に考えることはできます。

ひとりで悩みすぎず、責めすぎず、たまには自分を楽しませてあげてくださいね。

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